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September 03, 2025

海外視察レポート(アメリカ)

東映エージエンシーの矢原です。

2025年7月1日~7日の行程において、アメリカの最先端エンタメ施設の視察を行いました。

 

~ロサンゼルス~

ロサンゼルス訪問においての印象

まず、街の広さです。観光地やショッピングセンターなどが東京のように集約されておらず、想定以上に離れており、移動手段は車が基本でした。公共交通機関は存在するものの、車移動が主体のため、利便性に欠ける場面が多く見受けらました。

次に、街並みや自然の風景についてです。青空の下に広がるパームツリーや海岸沿いの景観は、数々の映画の中で見た風景と重なり、非日常的な印象を受けました。

さらにハリウッドサイン、映画スタジオ、アカデミー映画博物館といった観光地を巡ることで、ロサンゼルスが「映画の街」として世界的に認識されている理由を実感できました。

また、街にはメキシコ系やアジア系の人々が多く居住しており、異文化が共存し、歴史とともに広く浸透している様子が感じられました。

以上より、ロサンゼルスはその広大な都市構造と交通事情、映画産業を中心とした独自の文化的魅力、さらに多様な民族背景が融合した街であると実感しました。

~ラスベガス~

 

ラスベガス訪問においての印象

まず、昼と夜で街の雰囲気が大きく変化し、まるで一つのテーマパーク全体に滞在しているかのような印象を受けました。

特に各ホテルごとにコンセプトが設定されており、ニューヨーク、パリ、ヴェネツィア、エジプトといった世界の都市や地域を再現しており、街全体で世界旅行をしているような感覚を味わうことができました。

また、シルク・ドゥ・ソレイユやスフィアに代表される世界トップレベルのショーが集積しており、これらを一度に体験できるのはラスベガスならではの特色です。さらに、空港内にまでカジノマシンが設置されている点が特徴的であり、街全体がカジノと直結し、非常に身近な存在として機能していることが確認できました。

加えて、街中には日本では見られない規模の大型ビジョンや特殊形状のビジョンが多数設置されており、ホテルやショーの映像が流れていた点が印象的でした。気温は40度を超えるものの、砂漠地帯に位置するため雨の心配がほとんどなく、極端な高温環境にも対応した街づくりがされていることも確認できました。

以上より、ラスベガスはテーマ性に富んだ都市設計、世界的エンターテインメントの集積、カジノを中心とした独自の文化、そして気候条件に適応した街づくりを特徴とする都市でした。

 

 

~アカデミー映画博物館~

アカデミー映画博物館について、以下の特徴が確認されました。

まず、建築自体が美術品のようでした。歴史ある外壁とモダンなガラス球体が融合した構造は独自性が高く、施設そのものが観賞対象となっていました。

展示内容については、映画の歴史を重層的に表現しており、美術・脚本・撮影・衣装といったあらゆる要素が網羅されていました。その展示物も非常に多く、映画作品で使用されたプロップや台本、写真、さらにはCG技術の発展に関する資料まで揃っており、その膨大さに圧倒されました。一つ一つ丁寧に見ていくと一日を要する規模であり、簡単に見て回っても1~2時間は必要です。

特に印象的だったのは、壁一面に並ぶ資料展示が印象的であり、製作過程における手書きの書き込みや制作資料など、他では見られない貴重な内容に触れることができました。また、スクリーン裏に展開された「100年分の映画史」では、ハリウッドが積み重ねてきた歴史の厚みを一望できる構成となっておりました。

展示内容は、古典的な名作に関するものから、最新作品の衣装・プロップに至るまで幅広く扱われており、体験型展示や撮影可能な展示も多く取り入れられておりました。そのため、老若男女を問わず楽しめる工夫がされており、長時間滞在しても飽きることのない施設であると評価できます。

 

 

~JAPAN EXPO~

今回訪問したJAPAN HOUSEについて、以下の特徴が確認できました。

まず、入場が無料であるため、気軽に立ち寄れます。展示規模も適度であり、実際の衣装展示から映像を用いた演出までバランスよく配置されておりました。

今回の訪問時には、NHK大河ドラマ『どうする家康』に関連する展示が行われており、日本の文化や歴史を海外の来館者に伝える取り組みがなされていました。この展示のように日本の魅力を発信し、異文化理解を促進する場として機能していることが確認できました。

 

~ANIME EXPO~

今回参加したアニメイベントについて、

まず、約65か国以上から来場者が集まり、延べ41万人以上を記録する、北米最大級のアニメイベントです。会場は複数のエリアに分かれており、ブース出展、ステージイベント、物販などが広範に展開されていました。

会期中には多数の新作アニメや続編の発表が行われ、ファンの注目度が非常に高かったです。今後の続報で話題性の高まりが期待されます。

出展内容は日本のイベントと近似しており、キャラクターを前面に打ち出した展示に加え、ガチャガチャやクレーンゲーム、PCゲームの体験コーナーなども見られたため、日本国内のイベントに近い雰囲気でした。一方で、海外ならではの特徴として、ファンアートの販売が認められており、公式グッズに加え、個人が制作した二次創作作品も流通していた点は日本のイベントとは大きく異なっておりました。

また、コスプレをする来場者も多く、日本では如何にキャラクターに似せるかというクオリティの高さが注目されがちですが、海外ではファッションの一部として自由に楽しむ様子が印象的でした。オフィシャルの公式イベントに加え、二次創作やコスプレという日本のコミケ(コミケット)も加わった制作・創作が合体して大きな賑わいを生み出しているのが興味を引きました。

さらに、日本国内で人気を集める作品は海外でも同様に人気が高く、その背景には配信プラットフォームの影響力が大きいことが確認できた。特に、日本では漫画原作から話題が広がりアニメ化によって注目度が高まる傾向にある一方、海外ではSNSを中心にアニメ作品そのものが話題となり、原作の存在を知らないファンも少なくない点が特徴的であった。

以上より、当該イベントは世界規模でのアニメ文化の広がりを示すものであり、日本発コンテンツの国際的影響力の大きさを再認識する機会となっていることを実感しました。

 

~Sphere~

街中にそびえる巨大な球体は圧倒的な存在感を放っており、まるで未来都市の一部のような印象を与えていました。

施設内部では、世界最大級の高解像度スクリーンが観客の視界全体を覆い、従来の映画館やIMAXを超える没入感を実現していました。特に自然風景や宇宙表現の映像では、その場に実際にいるかのような臨場感を強く体感しました。

音響面では、各座席ごとにスピーカーが設置されており、どこに座ってもクリアな音を楽しむことができました。さらに振動や風といった演出も加わり、映像・音響に加えて五感全体で体験できる点が特徴的でした。日本の4Ⅾに近い感覚です。

今回の上映では主に映像体験を楽しみましたが、このスフィアで開催される海外アーティストのコンサートにも高い期待が持てる内容であり、今後の活用が注目されます。

総じて、スフィアはラスベガスでしか体験できない革新的なエンターテインメント施設であり、同市を象徴する新たなランドマークとしての価値を有していました。

 

~AWAKENIG~

今回鑑賞したラスベガスのショーについて、
360度の舞台構成やLEDスクリーン、プロジェクションなど最新技術を活用した演出が多用されており、従来型の舞台公演とは一線を画す現代的なショーでした。映像と舞台が高度に融合し、視覚的にも没入感のある体験が実現されていました。

演目の内容は「善と悪の戦い」をテーマとした物語であり、キャラクター造形やストーリーが分かりやすく構成されておりました。衣装やキャラクターデザインはゲームや映画の世界観を想起させる要素が多く、特にZ世代を中心とした若い観客層に強く訴求する内容であると感じられました。

また、ダンス、アクロバット、光の演出が組み合わされ、非常にカラフルかつ派手な演出が展開されており、視覚的な華やかさが際立っていました。

総じて、本公演はラスベガスの新しいショースタイルを象徴するものであり、従来のシルク・ドゥ・ソレイユ等とは異なる方向性を打ち出す、新しいエンターテインメントの形であったと評価できます。

 

 

~シルク・ドゥ・ソレイユ「O」~

今回鑑賞したシルク・ドゥ・ソレイユのショー「O」について、

長年続くエンターテインメントでありながら、初めて観ても新鮮さを感じられる点が印象的でした。パフォーマンスの完成度や芸術性の高さは唯一無二であり、時間を超えて観客を魅了する力を持っていた。

ステージの規模と舞台装置の仕掛けは驚きの連続であった。床が瞬時にプールへと変化し、逆に水面が消えるなど、水を活用したダイナミックな舞台転換が圧巻でした。さらに、水中から突然現れるダイバーや、水中でも完璧に呼吸を合わせるパフォーマーたちの動きは緊張感と迫力に満ちていました。

特に空中でのアクロバットは、人間の身体能力を超越しているかのようで、大きな感動を得ました。また、音楽・照明・舞台美術が一体となり、ステージ全体が美しい世界観を描き出していた点も特徴的であり、サーカスという枠を超えた「水を用いた芸術作品」として評価できます。

ストーリー面では、登場人物が言葉を交わすものの、既存の言語ではないため解釈が観客に委ねられていたのも興味深く、この不思議さがさらに魅力を高め、自由に物語を感じ取ることができました。

総じて、「O」は水を用いた舞台表現と高度なパフォーマンスを融合させた唯一無二の作品であり、ラスベガスを代表する芸術的エンターテインメントであると位置付けられるのも頷けます。

 

~シルク・ドゥ・ソレイユ「KA」~

今回鑑賞したシルク・ドゥ・ソレイユのショー「KA」について

ステージ自体が上下左右に大きく動き、戦場や断崖などに瞬時に変化する舞台装置の仕掛けは圧倒的でした。視覚的な迫力とスケール感により、観客は物語世界へ引き込まれる体験となりました。

内容面では、同じシルク・ドゥ・ソレイユ作品「O」が芸術的で幻想的な美しさを特徴とするのに対し、「KA」では炎や爆発、剣戟といったアクション要素が強調されており、舞台上に常に緊張感と迫力がありました。

また、本作は他の作品と比べて物語性が明確であり、兄妹の冒険と戦いを軸に展開されるストーリーは分かりやすく、観客にとって理解しやすい構成でした。結果として、演劇とサーカスが融合した独自の舞台表現が実現されていたといえるでしょう。

総じて、「KA」は巨大な舞台装置とアクション演出を駆使し、まるで大規模な映像作品を生で鑑賞しているかのような体験を提供するショーであった。ラスベガスならではのスケールと革新性を象徴する公演と評価できます。

 

~Tournament of Kings~

中世をテーマにしたディナーショーについて、

観客が国ごとに分かれてそれぞれの騎士を応援する形式が取られており、観客参加型ならではの一体感と盛り上がりがありました。応援の声援や拍手によって会場全体が熱気に包まれ、通常のショー以上の臨場感が生まれました。

演目では馬上槍試合や剣による戦闘が繰り広げられ、火花や炎を用いた演出も加わることで迫力ある舞台が展開されました。リアルさと演出効果が組み合わさり、まるで中世の戦いを目の前で体験しているような感覚を得られました。

また、食事を取りながら鑑賞できる点も特徴的です。骨付き肉やスープを手で食べるスタイルは非日常的で、中世さながらの雰囲気を味わうこととなり、これは「テーマパークのショーとディナーを組み合わせた体験」でした。

総じて、本公演は友人や家族と参加することでより楽しめる内容であり、特に観客同士の盛り上がり方が大きな魅力となっていました。外国人観客ならではの積極的な応援スタイルが加わることで完成するショーであり、ラスベガスならではの体験型エンターテインメントと評価できます。

 

~最後に~

今回の視察を通して、アメリカの最先端のエンターテイメントを全身で浴び、インスピレーションの一端とさせていただきます。

(筆者近景:「スフィンクスと私」)